【7】

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元居た教室の方へ戻る途中、ポケットに入れていた携帯電話が振動した。着信を知らせる振動の長さに、慌てて携帯電話をポケットから取り出す 画面には、さとの名前が表示されていた。それを目にした瞬間、ドクンッと一度だけ大きく心臓が跳ねる 「もしもし」 『お前、今どこに居るんだよ』 「えーと……」 『あー、いい。姿見えた』 辺りを見回して今居る場所を伝えようとした瞬間、プッツンと音を立てて通話を切られる。後ろから近付いてくる足音に気付いた俺が振り向けば、そこには呆れ顔のさとが立っていた 「お前、どこ行ってたんだよ。一緒に帰ろうって言い出したのはそっちだっただろ」 「あっ」 さとも俺も今日の授業は4限で終わり。俺がさとに、授業が終わったら一緒に帰らないかと言ったのは今朝の事だ 俺から言い出したのに、今の告白ですっかり頭から飛んでいた。俺が約束を思い出して声を上げると、呆れ顔のさとが更に呆れたと言わんばかりに盛大な溜息を漏らす 「はーっ、もしかして忘れてたのか?」 「ごめんっ!!怒ってるよな?」 「怒ってない。呆れてるだけ」 そう言ってさとは俺の頭にデコピンを一度食らわせると、何事もなかったように歩き出した。俺は慌ててさとを追いかけ隣に立つと、両手を合わせてもう一度謝る 「マジごめんっ、夕飯奢るから許して」 「今日バイト」 「でもバイト前に時間あるよな?」 「じゃあ、焼肉」 「ここぞとばかりに高いやつ言いやがって。肉は給料入ったら奢るから、今日はラーメンな」 「はいはい。しょーがないからラーメンで許してやるよ」 そう言ってさとがくしゃりと笑った。その表情には、怒りも呆れも見受けられない さとがこんな風に笑うのは、結構珍しい。久々に見た屈託のないさとの笑顔に、何だか嬉しくて頬の筋肉が緩んだ
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