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「おーい、起きろー」
飲み始めて二時間。俺がトイレに行ってる隙に、修一が広いソファーを一人で占領して寝てしまった
酔い潰れたのは一目瞭然で、俺は修一の頭上から起きろと声をかけるも一向に起きる気配はなく、仕方ないなと盛大な溜息を漏らす
「……たく、どっちが酒弱いんだよ」
いつも修一が泊まりに来る時は、大体修一がソファーで寝るから、まあ、別にいいんだけど。そんな事を思いつつ、押し入れからタオルケットを取り出し修一に掛けてやった
修一は身動ぎ一つせず、気持ち良さそうに眠る。規則正しい寝息が俺の耳に届いて、これはあまりにも、無防備だ
「…………人の気も知らないで」
暑いからって、はだけた洋服。隙間から見える修一の肌に、何となく見てられなくてタオルケットを上まで引き上げた
何年も、俺は修一の事が好きなのに、この無防備さ加減は変わらない。気付かれてない事に内心ホッとしてるのは事実だけど、こいつ、恋愛経験豊富なわりに鈍過ぎんだろ
本当、嫌になる
きっと、俺から襲われる可能性があるなんて、これっぽっちも思ってないんだろうな
ここまで心を許されると、本当に恋愛対象として見られてないんだなって思えてくるから、嫌だ
それなら、いっそ本気で犯してやれば、少しは俺の事を見てくれるのか
昔は背も低くて、坊主で全然モテなかったくせに、今目の前に居る幼馴染は高身長でスタイルも良くて、甘いマスクを被りどこからどう見てもイケメンに成長してしまった
性格だって男女関係無く人に優しくて、誰とでも直ぐに仲良くなって、俺みたいな無愛想な奴とは真逆だ。だからこそ、こんなにも、惹かれてしまうのかも知れないけれど
そっと顔を覗き込めば、薄く開いた唇が俺を惑わせ、伏せられた瞼が、本当に、キスを待ってるみたいで欲情した
自分の身体に、ゆっくりと、じんわりと、本来ならばあってはならない筈の熱が加わっていく。張り裂けそうな程、ただ一点に熱を集中させて。たった数十秒で、俺の身体はあり得ないくらい熱を帯びる
それだけ修一の寝顔は、危険だ。俺の隠していた、抑えていた感情を最も簡単に暴いてしまう
少しだけなら触れても大丈夫かなんて、自分で作り出した領域を壊そうして、どうしても触りたくて、手を伸ばしかけた
触れたくて、でも触れられなくてもどかしい
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