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お互い何も言えずに、暫くの間沈黙が続いた。この空気が何だか居た堪れなくて、俺が焦るように言葉を紡ごうとした瞬間、さとの方が先にこの静寂を破った
俺は一瞬だけ、自分が言葉を発さなくていい事にホッとした。しかしそれは本当に一瞬の事で、さとが放ったその言葉に、俺は先程とは比べものにならない程驚愕する事になる
「……あー、いや、えっと、ほら俺って女があんま好きじゃないからさ、男ならどうかと思って。お前が男平気ならさ、ちょっと、試してみたいっていうか」
驚きのあまり、息が詰まった。頭に鉛玉でも当たったみたいな、強い衝撃が俺を襲う
……え?
さと、何、言ってんだ……?
俺は今、何を言われてる?
「俺と付き合ってみね?今までだってずっと一緒に居れたし、案外長続きしたりして」
それ、どういう意味だ?
え、さとは俺の事が好きなんだよな?これって、好きだから付き合ってっていう意味じゃねえの?
俺って、今、告白されてんじゃねえの?
告白と言うには、その言葉はあまりにもかけ離れていて。俺は自分の耳を疑った。訳がわからないと、無意識に首を横に振る
なん、だ、それっ……
突然、意味、わかんねえよ。試すって、なに
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