【7】

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俺は一瞬でパニックに陥った。動揺からか、持っていた缶コーヒーが手から滑り落ちそうになる 身体中の血液が、どんどん下に落ちていく。先程とは別の意味で、心臓が大きく跳ねた 試すって、それはつまり、俺じゃなくてもいいって事か?もしかして、最初から、俺の事好きでもなんでもなかった? 待て、待て待て待て。落ち着けよ だって、俺の事が好きな訳じゃなかったら、あの反応や態度は何だったっていうんだよ。あんな、強烈な視線送っておいて。あんな、顔しといて ……いや、ダメだ。俺はさとから、はっきりと好きだと言われた訳じゃない だから俺の事が好きだという確証はどこにもなくて、俺はさとの、どの言葉を信じればいいかわからなくなっていた もしかしたら、さとは俺の事が好きなんじゃなくて、男が好きなのかも知れない。それなら、全ての説明がつくんじゃないのか さとは俺だけじゃなくて、他の男でも、顔を赤くしたり心臓の鼓動を速めたりするんじゃないのか 俺達の間には、最初から、恋愛感情なんて存在しなかったって事なのか。なあ、もしかして、最初から誰でも良かった? なんだよっ……、じゃあ俺、悩む必要無かったじゃん なんでもないなら、思わせ振りな事、言ってんじゃねえよ。気付け、なんて 一人で勘違いして、マジで、バカみてえ
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