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何もかも、思い過ごしだったなんて。ああもう、自分が嫌になる。勝手に人の気持ちを決め付けて、勝手に告白の返事とか考えたりして
嬉しかったのに。さとに想われてるって知って、本当に嬉しかったのに
今までの事、全部嘘だったってのかよ……?
じゃあ、俺の答えは決まったも同然だ
俺はさととこれからも親友で居たい。それで、いいじゃねえか。そこに恋愛感情が存在しないなら、それ以上の関係になる必要なんてどこにもない
俺はさとが放った言葉の意図を考える余裕すらなかった。俺の頭にあるのは、ただ、どう言えば自然と元の関係に戻れるかって事だけ
それだけを、必死に考えた
「うーん、なんて言うか、ごめん。さととは、親友で居たいっていうかさ……そういうのとは、ちょっと違う気がすんだよね」
”だからこれからも、親友で居てよ”
俺は出来るだけ優しい声音で、さとの申し出をやんわりと断った。視界の端で、さとの肩が震えた気がしたけど、気付かぬ振りをして視線を逸らす
俺はこの選択が、間違っているとは思わなかった
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