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だから余計に、さっき、無遠慮に触れられた肩がどうしようもなく熱くて目眩がした。皮膚が、細胞が、どんどん熱に侵されていく 俺は耐え切れず自分の肩を押さえてトイレに逃げ込み、壁に凭れかかって性急にスボンのベルトを外した 右手で左肩を押さえ、左手で待ち切れないと言わんばかりに、ボクサーパンツの中で熱を帯びる自身に手を這わせた 最初は緩く扱いて、慣れない左手はもどかしくて、余計辛くて それでも頭の中は修一の事でいっぱいだった 「っ……は、ぁっ……」 あのままだと、絶対に、俺は修一の唇を塞いでた。唇を奪って、嫌がるあいつを押さえ込んで 舌を絡めて、首筋を下から上になぞる様に舐めて、俺のしるしだって痕を残して 胸の突起に舌を這わせて昂るあそこを撫でて、扱いて ああ、もう、何もかも奪いたい 犯したい そんな事を考えながら自分の握るものを擦り上げた。耐え切れず漏れ出す自分とは思えない声を聞くのが嫌で、シャツを噛み締めて必死に声を押し殺す 「……んっ……ん、……」 それでも尚出てしまう声に、耳を塞ぎたくなる衝動に駆られてぐっと目を瞑る だんだんと激しくなる行為と荒くなっていく息遣い。自分の唾液でシャツを濡らしながら、上下に動かす手がイイ所を擦る度に腰を震わせた 「……ふっ、……くっ……、ぅ」 自分でしてるのにやけに気持ち良くて、頭が真っ白になっていく ただ肩に触れられただけで、寝顔を見ただけで、こんなになるんだから 俺って、本当に単純だ 「……んんっ…………!!」 心の中であいつを穢している罪悪感と、背徳感に苛まれながらもそのまま欲望を吐き出す 汚れきった掌を見つめて、またやってしまった、と、もう何度目かもわからない後悔の念に駆られた こうなるとわかっていて、それでもこの行為を止められなかった。俺は修一にしか、欲情しない。修一以外に、こんな風にならない 男に、こんな目で見られてるなんて知ったら、修一は俺の事を軽蔑するんだろうな 修一に軽蔑されたら、俺は、どうやって生きていけばいい。知られたくない。こんな事してるなんて、絶対に、知られたくない 恋をしたのが修一じゃなければ、こんなに悩む事など無かったのに。俺も修一と同じ想いが、返せたのに 友情を信じてる修一を、裏切らずに済むのに どうして親友を、男を、好きになってしまったんだ
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