【8】

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そんな事を思っていた時の事だ とある朝、ベッドで寝ていた俺は夜勤のバイトから帰ってきたさとに叩き起こされた。布団があるんだから、布団で寝ろと言って 重たい瞼を押し上げると、目の前に居たさとの腕に出来ている、青、というよりむしろ赤に近い痣が目に飛び込んできた。それはとても痛そうで、俺は無意識に、労わるようにさとの腕に手を伸ばしていた 「なに」 「ここ、あざ出来てる」 「あー、いつの間にか出来たんだろ」 「打ったとか?」 「いや、わかんない」 俺がさとの腕を掴めば、いきなりの事で驚いたのか、さとは勢いよくこちらを振り向いた。俺がほら、と言って痣を指差すと、さとは少しだけ身体から力を抜いた 落ち着いてる様にも見えるけど、これは多分焦ってる表情だと思う。それに、どこかぎこちない口調 俺がさとの腕を掴んだのは本当に無意識で、特に何かをしようとして手を伸ばした訳じゃない ただ、痛そうだなって思っただけ 直ぐに振り払われると思ったのに、何故か俺が予想した反応とは全然違う反応をされた 不思議だった。俺が触れただけで、こんなに動揺してるさとの姿が これは……もっと触れたら、どうなるんだろう もっと深い意味を込めて触れたらどうなるのか気になり、さとの腕に指を這わせた。優しく、本当に恋人の身体に触れるみたいになぞって わざと、親友だったら絶対にしないような触り方をした するとさとは肩をビクリと震わせ、これでもかってくらいに身体を反応させた。それはまるで、性感帯を愛撫されたような、そんな色味を帯びた反応 一瞬垣間見えた表情は、俺が今まで見てきた表情のどれとも違っていた 勘違いかも知れない。自意識過剰なのかも知れない。でもそんな反応をされたら、どうしても思ってしまうんだ やっぱりさとは、俺のことが好きなじゃないかって そう勘違いしそうだからそんな反応しないで欲しいのに、確かめるみたいにさとの肌を指でそっとなぞっては、この反応の意味を考えた ……なあ、さとは好きじゃない相手にも、そんな顔出来んの?そんな反応すんの?
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