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俺が突然触れた事に困ってるのか、それとも俺がそういった意味で触れた事に気付いたのか、さとは逃げる様に脱衣所へ向った。その姿はまるで、意識してますと言わんばかりだった
あー、本当に、勘違いしそう
もしも、さとが本当に俺の事を好きだったら……
そう考えた時、俺は何故か、さとから好意を寄せられても困らない気がした。前まではどうしようって、そればっかり考えてたのに
やっぱり、さとが俺の事を好きだったら、全部しっくりくるのになあって。むしろ俺のことが好きだったらいいのにとさえ思う
俺の事が好きなら、本当の恋人になれるんじゃないか、なんて
……あ……れ、なんだ、それ
おかしいだろ
だって
俺はただ、さとを繋ぎ止めたいだけだった筈だ。俺以外のところに行かないようにって
そこには親友以上の感情はなかった筈なのに。何で俺、今、さとと本当の恋人になりたいと思ったんだ?
それから暫くの間、自分の中でその答えを探したけどどうしても見つからなかった。自分の事なのに、マジで、わけわかんねえ
「修一、お前まだベッドに居たのかよ」
「……っ……!」
その声を聞いて、さとが風呂に入ってから既に数十分の時間が過ぎている事を知った
ヤバい、思考の海に浸かってた。ていうか、さとの顔、なんか見れねえんだけど
「どうした?」
俺が一向にその場から動こうとしないのが気になったのか、心配の色の混ざる声が降ってきた。聞き慣れた声、なのに、何故かいつもと違って聞こえて内心戸惑った
「いや…………えーっと、一緒に寝る?」
「アホか。誰が寝るかよ。いいからとっととベッドから出てけ」
「連れねえなあ。恋人同士なのに」
「だからっ……!」
「はいはい」
仕方ないな、といった感じで俺はベッドから出る。俺がベッドから出ると同時に、さとはすかさずベッドにダイブした
すれ違った時、ほんの一瞬、柑橘系のシャンプーの香りを仄かに感じた。それはさとが実家に居た時から使ってるシャンプーの香りで
それを直ぐ側で感じた瞬間、心臓の鼓動が速くなったのは、何でだろう
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