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ゆっくり、ゆっくりとさとの手に自分の手を添わせる。重ねた手は少し冷んやりとしていて、自分の手に収まらない感じが、触れているのは男の手なんだと実感を抱かせた
手を繋ぐのは、全然平気なんだよなあ
なんて、確かめてんのは俺の方じゃないのに、心の中でそんな事を思った
俺がそのまま恋人が繋ぐ様に指を絡ませると、隣から酷く動揺した声が聞こえてきた
焦った声が俺の名前を呼ぶ。触れた部分から感じているさとの体温が、急激に上昇していくのが俺にもわかった
俺の熱が、さとにも伝わったって事なんだろうか。でも、なんか、むしろ今はさとの方が熱い気がするんだけど……
恋人の様に繋いだ手を見て、何故かさとは俺の手を振り払おうとしてきた
俺は熱が離れていきそうになって寂しいとでも思ったのか、反射的に逃すまいと握った手に力が入る。強く握り締めれば、抵抗の力は直ぐに弱くなった
さとの顔をチラリと覗けば、さとは俯き気味に顔を伏せていて、その表情は俺の方からじゃよく伺えない
さとが今何考えてんのかわかんない。どんな表情で、俺と手を繋いでんのかも。けど触れ合った手を通して感じる熱が、さとの心情を俺に伝えてくるみたいだ
視線が全然合わないのは、この熱は、もしかして俺を意識してるから……?
さっきまで冷たかった手。でも今は俺よりもずっと温かくて
うん。やっぱり、意識されてるんだよな……これは
今まで、さとから恋愛の話をあんま聞いた事が無かったけど、もしかして……こういうのって慣れてなかったりすんのかな
確かに恋人繋ぎなんてそんな頻繁にしないかも知れないけど、それにしたって手を繋いだだけでこんな風にされたら、こっちだって意識するっての
手を繋いだだけなのに
ヤバい……この反応は、予想外だ
なんて言うか、初々しいカップルが、初めて手を繋いだ時みたいな気恥ずかしさ。この感覚、凄く新鮮だ
手を繋ぐのって、こんな、恥ずかしかったっけ
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