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伝わってくる修一の想いに、俺の想いも堰を切った様に溢れ出す
「……触れたら、最後だと思った」
そういう意味で触れたら、止まれなくなると思った。修一との関係を壊したくなかった
「好きだって言うのが、怖かった。言ってしまえば少なからず、俺達の関係は今までのものとは違うものになってしまうと思ったから」
修一の側に居られなくなるのが、怖かった
告白の決心がつくまで、そんな事ばかりグルグル考えてて
言うのがこんなに遅くなってしまった
「……ごめん」
近寄らないで欲しいとか
触らないで欲しいとか
自分勝手な事ばっか言ってごめん
傷付けて、ごめん
「ほんとに、ごめんっ……」
「……いいよ、もう。俺の方こそ、酷くしちゃったし」
「でもっ!!」
「それよりさあ、なーんで、そこなんかなあ。そういうとこもさとらしいけどさ」
「そこ、って」
「素直に話してくれんのも嬉しいけど、ごめんより先に言う事があるんじゃねえの?」
「……っ!!」
恥ずかしそうに、どこか拗ねた様にそう言った修一。さとの口から早く聞きたいんだけど、と小さな声が耳に届く
触れた手が、俺の手をそっと握り締める。俺はその手を握り返して、反対の手で、高鳴る胸を鷲掴んだ
そっか。もう言っていいんだ。有りっ丈の気持ちを込めて、好きだって
「……っ好きだ。修一が、好きっ」
押し殺してきた感情が、修一への想いが、とめどなく溢れてくる。もう、抑えられない
何度だって、言いたい
「ずっと、ずっと好きでっ……」
「うん」
「好きっ……好きなんだっ……」
「……うん。ちゃんと、全部伝わってる」
何度も何度も、修一に好きだと言った。修一はその一つ一つに頷いて、全て受け止めてくれた
もう一つの手がゆっくりとこちらへ伸びてきて、そっと、優しく頬を撫でる。修一の今にも泣き出しそうな笑顔に、愛おしいと心が叫ぶ
「俺も好きだよ。だからもう、触れていい……?」
ああ、俺も
触れたいって思ってたよ
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