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俺は早速と言わんばかりにレポートを始めようとするも、隣に修一が座った瞬間、意識がそちらへと持って行かれた。それは修一に対してドキドキしたとか、そういう可愛らしいものではない 無意識に身体が拒絶したのか、ふわりと鼻を掠めた匂いに、全身の毛穴という毛穴が開いた 「今日、彼女は?」 「さっきまで一緒だったよ。夕飯だって、あいつの家で手作り食ってきたし」 俺は隣に座る修一から僅かに香水の香りがして、これが修一の物で無いと瞬時に理解し眉を寄せた 鼻をくすぐる様な、甘ったるい、これはローズか何かだろうか?詳しくは無いが、多分花の香りだ その香りの強さに、無意識に握り拳を作ってしまう。これでもかって位爪を立てて、あまり伸ばしていない筈のその爪が、今にも皮膚を切り裂いてしまいそうだ 直接会った事は無いが、きっと彼女の香水の香りだろう。残り香がさっきまで彼女と一緒に居た事を訴えてきて、隣に居るのがより一層辛くなる グッと喉を詰まらせて、詰まらせた部分に何だかよくわからない異物感を感じた 吐気まではないが、このままでは、俺の身体に何らかの負荷がかかってしまうのではないかと思う位には、身体がこの香りに強烈な拒否反応を示す かと言って、風呂に入ってこいなんて言える訳もない。そんな事を言える立場でない事は、自分が一番理解している 「……泊まらなかった、のか」 「ん?何か言ったか」 「…………いや、何でもない」 けれど、ご飯だけって、それで本当に良かったんだろうか 彼女からしたらその先を望んでたかも知れない ここに来ている時間だって、本当は、彼女と一緒に過ごすべき時間だったんじゃないのか 料理だって手作りして、必死にお前の気を惹こうとしてたんだろう。俺が彼女の立場だったらーー 身体が、まるで冷水を浴びた後の様に冷たくなっていく。寒くないのに、寒い。先ほどより酷く、鳥肌が立って仕方ない 指先の感覚は見る見る奪われていき、頭が、鈍い痛みに見舞われた それなのに口からどんどん溢れ落ちていくのは、本心とは、真逆の事ばかりだ。自分をもっともっと追い詰める様な、物言い 「いい加減、もっと彼女を構ってやらないと、また振られるぞ」
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