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会は進み、自分の席を立って他のテーブルに行くサークルメンバー達。俺の隣に座っていた先輩もどこか違うテーブルへと行き、修一の隣には、あまりいい噂を聞かない男が座った
馴れ馴れしく修一の肩に腕を回して、もっと飲めと言わんばかりに修一のグラスに酒を注ぐ
そいつは、普段特に話をする事なんて無い奴だ。サークルで顔を合わせた時だって、挨拶すらもしない様な、ただの顔見知り程度の奴
そんな奴が何で、修一の隣に座ってるんだ。何となくだが、嫌な予感しかしない
そいつはだいぶ酔っているのか、ニヤニヤとしながら突然大きな声で修一に声をかける。それはもう、周りの奴らに聞いて欲しいといった風に、声を張り上げて
「そう言えば、お前この間男から告られてたよなあ?」
その質問にはクスクスと楽しそうな声も織り交ぜられており、人の不快感を煽る様な口調に、修一が眉を寄せるのが視界に映った
その口調からでも、直ぐにわかる。そいつは修一の隣にわざと座り、わざと大きな声を上げたんだ
案の定、そいつの声に皆がえ?と言いながらお酒を飲む手を止めて修一とそいつに視線を向けた
そしてそれは俺も同じだ。そいつの口調も声もかなりムカつくが、それよりも俺はそいつの放った言葉に引っ掛かりを覚えて、全ての動きを止めた
まるでズドン、と、重たい何かを心臓付近に落とされたみたいな感覚を受け、息を詰まらせる
二十年一緒に居た俺ですら、初めて聞いた。修一が、男に、告白されたなんて。いや、俺が聞いた事無かっただけで、今まででもそういった事はあったのかも知れないけれど
俺の心に、悔しいという感情と、羨ましくて、妬ましいという感情が荒波の様に一気に押し寄せてくる
男同士だってわかっていて、それでも告白した名も知らぬ奴
不毛だとわかっていただろうに、それでも告白する事を選択した奴に、俺は単純に、嫉妬した
そいつの勇気が、今の俺には、かなり痛い
「聞いてくれよ。こいつさ、この間大学の裏庭で男に告られてたんだぜ」
注目された事が嬉しかったのか、修一の隣に座った奴が尚も大きな声で言葉を続けた
可笑しいだろ?と、副音声みたいに重なって聞こえてきた言葉は、紛れもなく、男が男に告白されるなんてあり得ないと言っていた
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