【3】

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ああ、普通なら、男が男を好きになるなんてあり得ないのか。そんな表情をされる程、いけない事なのか 自分が直接そう言われた訳では無いのに、まるで自分の話をされているみたいで吐き気がした そんな俺とは対照的に、女達はキャー、それでそれで!?と、甲高い声を上げる。野次馬みたいに群がって、その声に他のテーブルの奴らまでが修一達に注目した バツが悪そうに頭をかいた修一は、話をしないと皆が許してはくれないだろうという空気を察したのか、ゆっくりと口を開く 「確かに好きだとは言われたけど、ただそれだけだよ」 告白されただけ。という事は、多分その返事はノーだったんだろう。それを聞いて、隣の奴がケタケタと笑い始めた。やっぱりな、といった感じで 「ははっ、お前だって気持ち悪いとか思ってたんだな。良かった。俺さ、お前がOKしたんじゃないかって心配してたんだぜ?」 全く心の篭っていない言葉。告白してきた相手の気持ちを踏み躙る様な下品な笑い声に、修一はそれまで隠していた怒りを露わにした 「別にあんたには関係無いだろ。好きになるのに異性も同性も関係無いんだし、真剣な気持ちを笑うのってどうなの?」 怒気を孕んだ口調で言い放つ修一に、場の空気が一瞬凍った。騒いでた遠くの人達まで、シン、と静まり返える程、修一の言葉は周りに強烈な印象を与えた どんなに恋人が代わろうとも、修一は彼女一人一人を大切にしていた。真剣に向き合っていた だからきっと、真剣な想いを軽んじたそいつが許せなかったんだろう そして図星を突かれた張本人は、顔を引きつらせつつ修一へと反論する。俺は間違った事は言ってないという風に 「じゃ、じゃあお前気持ち悪くねえの?真剣に告白されてさっ!!男とキスとか出来んのかよ!?」 「俺は出来ると思うよ。好きになったなら。それが例え同じ男でもね」 修一は怯む事なく平然と言ってのけた。その言葉に、苦虫を噛んだ様に隣の奴が押し黙る。そして完全に部が悪くなったと感じたのか、そいつはテーブルを蹴って周りに当たり散らしながらどこかへ行った 一気に静かになったテーブルの近くで、女達が口々にかっこいいと呟く小さな声が響く 「ごめん。場の空気悪くしたよな。俺、今日はもう帰るわ」 皆に笑顔を作り席を立った修一は、皆が口々に引き止めるもお金だけを置いて店から出て行ってしまった
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