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梅雨が明け、一気に気温が上昇した7月の初め 暑いのも寒いのも苦手な俺は、日々高くなる体感温度を少しだけ億劫に感じながらも、大学に行く為に渋々ベッドから身体を起こした 顔を洗って、昨日買っておいたパンに手を伸ばして、着替えて 大学に入る際に買った大きめのカバンを肩にかけ、誰に言うでもなく行ってきますと呟いた 一人暮らしの家から大学までは自転車で約15分程。恐らく、家は近い方だろう。大学に着いた俺は自転車置き場に自転車を置いて、広い敷地内を一人歩く すれ違う知り合い達と挨拶を交わしながら、俺はふと、自分の名前を呼ばれた様な気がしてその場に立ち止まった その声は微弱で、聞こえるか聞こえないか位の小ささだった。恐らく、50メートルは離れてると思う それでも俺は自分の耳を疑わなかった。俺があいつの声を聞き間違う訳がないと、よくわからない自信さえも持っていた 空には雲一つ無い一面の青空が広がり、薄っすらとした風が心地よく俺の肌を撫でる 耳を澄まして聞こえてくるのは、樹々の騒めく音と行き交う大学生達の声 沢山の声と音が行き交う中で、俺は自分の耳を頼りに声がした方へ視線を向けた 向けた視線の先に捉えた人物を見て、やっぱり、と小さく苦笑を漏らす 俺も、懲りないな 視界を鮮やかに彩る黄色がかった茶色の髪が、太陽の光に照らされてキラキラと光り、俺は眩しくて一瞬目を凝らした 周囲を取り囲む様に風に舞う緑の葉が、時折金色に光る髪と折り重なって、何だか、似合うなと思った
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