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「え……?」
”俺とかどう?”
その言葉を言った直後、隣から聞こえてきたのは、心の底から驚いた様な声だった
俺は、その声にビクリと肩を跳ねさせ、グッと握り拳を作りながらゆっくりと視線を隣へと移す
酷く、驚いた顔が視界に飛び込んできて、眩暈がした
修一の反応に、足元がどんどん暗くなっていく。視界に映る夜空も、公園景色も樹々達も全て、漆黒の闇が覆い尽くしていく
あ、やっぱ、そうだよな。それだけ驚くなら、今まで少しも、俺がお前を好きだとか考えた事無いんだろうな
その事実が、妙に、痛い
背中にも、握り締めた掌にも尋常じゃない程の汗をかく。心臓は早鐘を打ち、まるで喉元を何かで締め付けられた様に呼吸が出来ない
俺の方から話を振ったくせに、いざとなると怖じ気づいて、口を開く事すらも儘ならなくて
何だか、泣きたくなった
「さと?」
「あ……え、と」
いや、大丈夫。大丈夫だ。落ち着けよ
まだ、振られるとは決まった訳じゃないだろ
このまま好きだと、言えばいい
好きだ。たった三文字だろ
言えよ
言え
「俺、さ……」
「うん」
「お……前が……」
「うん」
「す……っ、……っ…………」
駄目だ
駄目だ。声に、ならない
たった三文字が喉で引っかかって、何度も口を開閉させるも、その文字は形となる事は無かった。俺は悲痛に顔を歪ませ、俯く
女が好きな相手に、男の俺が告白してどうなるんだ。偏見はなくても、大丈夫だって言われたとしても、俺は最後の最後で恐れてしまった
本当の気持ちを打ち明けて、それを、受け止めてくれなかった時の事を
怖かった。本心を、口にするのが
長年、箱の中に想いを閉じ込めて来たのに、いざ開けようとすればどうだろう。俺は、その箱の鍵を開ける勇気を持ち合わせてはいなかった
ずっと一緒に居たから、親友だったから余計に、性別の壁が重く伸し掛かる
でも修一は何も言わずにジッと、俺からの言葉を待ってくれていて
他に何か、言い訳をしなくては。他に、何か。そう、焦る様に俺は無理矢理口を開いた
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