【4】

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ピンポーンッ 修一と別れて、フラフラとした足取りで向かった先は、自宅では無かった 意図してそこに向かった訳では無くそれは無意識に近くて、本能的に一人になりたくないとでも思ったんだろうか いつもなら簡単な連絡を入れてから来る癖に、気が付いたら既に玄関の真ん前に立っていて、もうそんなもの必要無いかと呼び鈴を鳴らした 頭の中は何だか、夢の中に居るみたいにふわふわとしていた。深く、深く、光すらも届かなくなった水底に沈んで、現実なのに現実を未だに受け入れられない ここまで、俺はどうやって来たんだろう。あの場所から、恐らく二駅分は離れていた筈なのに まあ、そんな事、どうだっていい もう何もかもがどうだっていいと思った。自暴自棄。俺は何とも愚かで、浅はかだ 一度目の呼び鈴を押して、少しの間を置いてから玄関のドアは開かれた。ドアの向こう側に居る相手は俺の姿を見て驚き、ドアノブを握ったまま固まった 無理もない。俺は今日、サークルの飲み会があると事前に言っていたから 「はい…………上島?」 「悪いな。急に」 「飲み会……」 「あー、抜けてきた」 「ふーん。とりあえず、上がっていくか」 急な訪問に驚いた様子ではあったが、特に理由を聞いてくるでもなく俺が玄関に入りやすい様にスペースを空けてくれた どうぞ、と、招き入れられ、玄関に足を踏み入れる。後ろから、ガチャリとドアが閉まる音が聞こえてきた 鍵をして、こちらに背を向けた家の主の背中に手を伸ばす。きっとこれも、無意識 目線の先には、俺よりも高い位置にある肩。人間の身体の中で一番重たい部分を目の前にある肩口に預けて、消え入りそうな声を上げた 「夏富……今日、泊めて」
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