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「……ああ。おはよ。俺、いつの間に寝てた?」
「4本目のビールの缶が空になる頃……だな。俺用に買ってた筈のビールまで飲んで、話の途中で寝落ちした」
「あー、何の話、してたっけ」
辛うじて二日酔いにはなっていないが、俺は思いの外飲んでいたらしい。実は自分がどれだけ飲んでいたのか全く憶えていない
夏富からはっきりとした本数を言われた所で、曖昧な記憶はどうにもならない
だから、昨日の事を聞かれても、正直困る
「……上島。昨日の事、どれ位憶えてる」
「昨日?結構酔ってたし、途中から曖昧だな。確か冬休みの予定について話して、それからは、さっぱり」
「だったら、今後、あまり酒は飲まない方がいい。嗜む程度にしておけ。ベッドに運ぶのも疲れる」
「それは、その、悪かったな。……気を付ける」
別に、床にそのまま寝かせててくれても良かったのに。今は冬程寒くは無いし、わざわざベッドに運んでくれなくても、掛け布団さえ掛けてくれてればそれで良かったのに
でもまあ、床で寝なかったから身体も痛くないし、助かった
その事を夏富に告げようと口を開こうとした瞬間、不意に上から白い布が降ってきて、それにより俺の視界は一気に覆われる。一瞬の事で動揺した俺は、咄嗟にうわっと声を上げた
何なんだ、とその布を引っ掴んで広げてみれば、それは俺が着ている洋服と同じサイズのシャツだった。これは、夏富の服か?
「ほら、さっさと準備しろ。学校遅れるぞ」
「あれ……俺の服は」
「洗濯する。酒臭いから。今日はそれ着て行け」
「あー、ありがと」
暫くは、夏富に頭が上がらない気がした
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