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「来週っていつ遊べんの?さとからは全然連絡くれないし、なんか、遊びたいと思ってんの俺ばっかじゃん」 「……わかった。ちゃんと連絡するから、とりあえず腕、離せ」 「離したらどっか行く気だろ。遊ぶ日が決まるまで、離さない」 「……なっ、離せって!あんま触んなっ」 強い力で掴まれた腕は、まるで熱湯でも掛けられた様に熱くて堪らない。修一はわかっていない。俺が触れられるだけで、どんな風になってしまうかを 勢い余って触るなと叫んでしまう程、俺は切迫していた。こんなに近くにいたら、こんな風に触られたら冷静さなんて保ってられない 早く、早くこの場から逃げ出したい。親友に戻れる、チャンスを棒には振りたくない 俺はその手を振り払おうと必死にもがいた。しかし修一は普段から筋トレをしていて筋肉質で、片や俺は普段から何もしておらず力差は歴然 どう足掻いたって、逃げられない。その事を思い知らされて、俺は徐々に血の気を引かせていった 頭に血液が送られていないのが自分でもわかる位には、この場から逃げられないというショックは拭いきれなくて、何とか耐えていた足が今にも崩れ堕ちそうだった 「おい。その腕、離せ」 そんな時、不意に俺の腕が強い痛みから解放された。そして俺の頭上から、聞きなれた声が降ってくる 修一の手から自分の腕が解放されたのだと気付いたのは、その声を聞いた後だった。いきなり軽くなった腕を押さえてみれば、まだ、握り締められた部分が熱を放っていた
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