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とぼとぼと歩く途中、不意に修一が立ち止まりズボンのポケットから携帯電話を取り出した マナーモードにしてあるらしく音はしないが、恐らく着信かメールでバイブしたんだろう 俺もつられて足を止めると、隣に居る修一が携帯電話の画面を見て大きく目を見開く そして数秒後には、驚いた表情は、少し困ったという様な表情に変わった 「何、メール?」 「そう、彼女。なんか、今日夕飯一緒に食べないかって」 彼女。その言葉が、一瞬で俺の胸に突き刺さる。さっきので人知れず舞い上がっていた心には、ちょっとどころじゃなく、痛い そう、こいつには彼女が居る。それをわかってて笑顔一つに踊らされる俺は、バカなんだろうか 修一は、かなりモテる。それに告白されたら直ぐに付き合ってしまうから、彼女が尽きる事が無い 本人曰く、付き合ってお互いを知って、それから好きになるのも良いんじゃないかって事らしい。まあ、最終的には何故か彼女に振られてしまうんだけど 今回の彼女とは、付き合って一ヶ月程になると言ってただろうか 俺は修一に気付かれない様にそっと息を吐き出し、仕方ない、と自嘲気味に笑った 「……ミキちゃん、だっけ。いいんじゃないのか。お前、今日バイト休みだし」 「何言ってんだ、さと。俺と飯食う約束忘れたのかよ?さとが先約だろっ」 約束忘れんなよな、と言って拗ねた様に唇を尖らせた修一。なんだ、その唇は。奪って欲しいのか けど、俺が修一との約束を忘れる筈もない。ちゃんと覚えてる 最近バイトの休みがあまり合わなくて、今日たまたま一緒になったから、飯でもどうかって修一と約束していた しかし普通なら、友情よりも恋愛感情を取るだろ。当たり前だ。付き合ってるんだから 親友の俺じゃ、彼女には敵わない。せめて今日じゃなかったら、こんな想い、しなくて済んだんだろうか 「それはそうだけど、もっと彼女を優先してやれよ。だからお前は振られるじゃないのか」 「うっ……なんか、耳が痛い。でも、さとだってバイト休みなのに」 「俺の事はいいから、行ってこい」 「うー、ごめんっ。この埋め合わせはいつかするからさ」 「はいはい、今度奢れよ」 本当は行かないで欲しいなんて、言えるわけ、ない
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