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「おいっ……何でベッドに入ろうとしてんだ」
あれから、トイレに行きたいだとか風呂に入ってないからだとか、何かしらの理由を付けて拘束から逃れた
俺は先に風呂に入ると、明日も学校があるからと早々にベッドの中に潜り込む
寝転がったまま携帯電話を弄っていれば、俺の後に風呂に入った修一が部屋に戻ってきて、冷蔵庫に入ってた水のペットボトルを取り出しこちらに歩いてきた
修一はソファーを通り越してベッドの枕元にペットボトルを置くと、掛け布団を持ち上げ、さも当然と言わんばかりにベッドへ入って来ようとする
俺は修一の行動に眉を寄せつつ、ソファーを指差してあっちに行けと言った。既にソファーには修一用に毛布まで用意してあるっていうのに、何でこっちに来てんだよ
「お前はソファーに行け」
「え?だって、恋人同士なら一緒に寝たっておかしくないだろ」
「だったら尚更出てけっ……!」
「えー、あっ、ほら、前にも一緒に寝た事あったじゃん。俺がミキに振られた日にさ」
「はあっ!?あ、あれは、お前がっ……」
「俺?」
前にも一緒に寝たんだから問題ないだろうと言う修一に、あれはあの時お前が俺の身体を抱き締めたまま寝た所為だと、そう言おうとして途中で言葉に詰まった
修一はキョトンとした顔で首を傾げてる事からも、多分自分がベッドの中に引き込んだのを憶えていないんだろう。結構、酔ってたし
それなら今更説明した所で修一が俺を引き込んだって証拠もないし、見ようによっては俺の方から修一の寝てるベッドに入り込んだみたいに見えてしまう
「俺がどうしたの」
「…………っ、なん、でもない」
結局俺は、どう断ればいいのか方法が思い付かなかった。潔癖じゃない事だって既にバレてるし、逃げ道は恐らく無いんだろう
この流れの場合、俺がソファーに行く事も阻止されるに違いない
「……ていうか、お前はただベッドで寝たいだけだろうが」
「あ、バレた?今日気温低いし、毛布じゃ寒いと思うんだよね。今度布団買おうかなあ」
「はあ、もういい。その代わり狭いぞ」
「俺は全然へーき」
俺は平気じゃないっつの。修一が寝たら、真っ先にベッドから抜け出してやる
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