【5】

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「暫くってのは、そのままの意味だよ」 心の中で思っていた筈の疑問に、何故か返答が返ってきてビックリした。どうやら俺は、心の声をそのまま口にしていたらしい 思った事が口に出てた恥ずかしさからか、俺の顔がぶわっと音を立てて赤くなる カーテンを閉め切ったこの部屋は月明かりも入らず真っ暗で、視界はぼんやりとしててよく見えない。だから多分、修一も同じく見えていないと思う 良かった、こんな顔、見られなくて 「あ、因みに異論は認めないから。じゃあ、お休み」 「な……おまっ、横暴だっ」 修一は自分の言いたい事だけを言って、まるで何事も無かった様に寝る体勢に入った。俺に背を向け、布団を深々と被る 寝ようと……は、してなかったが、人を起こしておいて言い逃げしてんじゃねえよ 何が暫くだ。毎日泊まる気で居んのかよ。誰が、そんな事認めるか 俺が修一の肩を揺さぶり、起きて前言を撤回しろと求めると、修一は盛大な溜息を漏らして素直じゃないなと呟いた 「素直じゃないさとと付き合うなら、これ位強引の方が丁度いいと思うけど」 「~ッ、それはどういう意味だっ」 答えろと言った所で修一が答えてくれる筈もなく、それ以降狸寝入りを決め込んでいるのか、修一は俺の呼びかけに一切反応しなかった 「おい」 「……」 「修一、いい加減にしろっ……」 「…………」 「……っあー、もう」 本当に、知らないからな。どうなっても 俺は頭をぐしゃぐしゃと掻き乱すと、修一の身体を踏み付けてベッドから降りた。ボフッと音を立ててソファーに寝転がり、置いておいた毛布を頭まで被って、最早不貞寝にも近い状態で目を閉じた 最後の最後まで、修一に振り回されて終わった。状況整理の追い付かない頭は今にもショートしそうで、どうしてこうなったのか、考えても考えても答えは一向に見つからなかった 修一は、本当に厄介だ。長い間近くに居から、お互いの性格を熟知している。多少強引じゃないと俺が承諾しない事くらい、わかってたんだろうな 最悪だよ。本当に。悪かったな、そんな強引な所も好きで 手放しで喜べない状況なのに、どうしようもなく込み上げてくるこの気持ちは何なんだ。何で俺、こんなに手、震えてんだ 何でこんなに、目頭が熱いんだ
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