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「あ、さと、ちょっと待って」
俺がクローゼットから着替えを取り出し風呂場に向かおうとすると、いきなり修一の手が伸びてきて俺の腕を掴んだ。俺が反射的に後ろを振り向くと、修一は俺の腕をジッと見て少しだけ首を傾げた
「なに」
「ここ、あざ出来てる」
「あー、いつの間にか出来たんだろ」
「打ったとか?」
「いや、わかんない」
左腕の肘の少し上辺りに、見覚えのない痣が出来ている事に言われて気付く。しかし痛くも痒くも無いので、俺は得にその痣を気にする事なく再びクローゼットの方に視線を向けた
が、
視線を戻したのと、俺の身体に思いもよらぬ電撃が走り、膝からガクンッと崩れそうになったのはほぼ同時だった
修一は掴んでいた腕を離したかと思えば、そのままするりと撫でる様に指先を動かして、先程出来ていた痣に触れた
優しく、愛撫するみたいにその上をなぞって。親指で、人差し指で、中指で、二の腕から肘にかけてゆっくりと指先を這わせてきた
触れてるんだけど、触れ方が妙に優しくてゾクッとした。単純に、触れるって言葉じゃ片付かない様な触り方
無神経に、俺の腕を弄ぶ指先
そのまま俺の指先までゆっくり、じっとりと指先を下ろされ、指先同士が触れ合った瞬間に化学反応が起こったみたいに俺は腰が砕けそうになった
ビリビリと、身体に甘い痺れが起こって、目の奥ではバチバチと火花が散った。心臓なんて、今にも飛び出そう
多分、普通に触られたんだと思う。なのに、どうしようもなく変な気分になる
油断してた。ここ一週間近く修一と過ごしていたが、特に修一は何もしてはこなかった。だから油断してたんだ
予想だにしない修一の行動に、無遠慮な指先に、俺の身体が勝手に反応した。たかだか、手が、指が触れただけ。でもその指が修一のなら、こうなっても仕方ないのか
「そう言えば、まだあの事言う気になんねえの?」
「……言わ、ない。言いたくない」
「強情」
「うるさい」
俺は風呂場に逃げ込む様に部屋を後にした。脱衣所のカゴに持ってきた着替えを投げ入れて、壁に凭れかかる
「……っ、は、はあっ……」
何で、こんな際どい触り方、すんだよ
やべ……これ、完全に勃った
布をはち切れんばかりに押し上げる自身を自覚した瞬間、早く家に帰ってくれと強く、強く願った
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