【6】

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「さと、ちょっとだけ味見させて」 「……っ……!」 不意に左肩に重みを感じて横を向けば、思わぬ至近距離に修一の顔が存在していて驚いた。味見させて、と言った声は耳の直ぐ側で聞こえてきて 一瞬、呼吸が止まるかと思った。身体はもう、それより先に硬直した 目の前にある、端正な顔。少し下げられた眉。俺の肩に顎を置いて、お腹空いたと口を尖らせる姿に、目眩がした 何だ、この、可愛いのは 修一の方が背は高いが、俺の肩の位置に合わせて屈んでる姿が何とも言えなくて理性の壁がグラリと揺れた。心臓、ちゃんと動いてるよな。爆発とか、してないよな。なんてバカみたいに胸を押さえてみる 近い。修一との距離が、とんでもなく近い。俺はこの距離に耐えられなくなって、もう出来たからと言って修一の顔を押し退けた すると修一はあっさりと俺から身体を離し、さっきまで座っていたソファーに戻っていく。それを目で追いながら、俺は内心そっと胸を撫で下ろした ……気のせい、か、最近やたら修一を近くに感じる 何と言うか、時々、修一の方から触れてきたりとか。例えば突然頭を撫でられたり、肩に腕を回されたり。薄くなった青痣をどこか確かめるように指でなぞられてり……そんな事をされてる様な、されてない様な その度に俺は平常心を装ってはいるけれど、修一に触れる頻度が日に日に増してる気がして、それが追い付かなくなってきている 気のせい、なのか。いや、でもこれだけ触られたら流石に何かありそうなものだ これって、わざと……だったりして そんな事をつらつらと考えたが、それはあり得ないなと溜息を漏らした。修一から意識的に触られてるなんて、こんなの、自意識過剰だ
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