【6】

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俺の右手に添えられたのは、紛れもなく修一の左手だった 手の甲に添えられた修一の左手はそのままするりと動いて、骨張った指先が俺の指先に絡んできた。指と指の間に指を差し込まれて、包み込む様にギュッと握られる 俺はいきなりの事で思考が追い付かず、修一の行動をただただ目で追う事しか出来なかった 皮膚から伝わる熱は、間違いなく修一から与えられたものだ。その事を理解するまでに、凄く長い時間を要した 「しゅ、いちっ……!?」 お前、今、何をしてるんだ これはどう見たって恋人繋ぎというやつで、俺にとってこれは、普通に繋ぐのとは全然違う意味合いを持っていて パニックに陥るのは、仕方ない事だった 今まで考えていた事全て、一瞬にして吹き飛んでしまう破壊力。さっきまで修一と会話をしていた筈だったが、俺はその内容が全く思い出せなくなる程の衝撃を受けていた おかしい、おかしいおかしいおかしい。だって、何で、どうして俺は手を握られてるんだ 恐らく、思考回路が正常に機能していれば、どうしてこの状況が作り出されたのかなんて簡単にわかる筈なのに。俺はそれすらもわからない位狼狽えていた 急激に体温が上昇していく。触れ合った部分が発火したみたいに熱くて痛くて、自分の身体なのに思う様に動かせない 頭の中で危険信号が鳴り、咄嗟に離そうとしたのに、何故かそれを許さないと言わんばかりに手に力が込められた ヤバい。これは、ヤバいって これ以上は無理なのに、こんなの耐えられないのに、修一は俺の手を離してくれない。修一の考えてる事が全然わかんない。考えられない 離してくれないから、ますます俺の心臓の鼓動はどんどん速くなって、呼吸すらもままならない 何で、どうして、こうなったんだっけ
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