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我慢して声を出さない様にしてんのに、修一の無神経な指先が俺の首筋と鎖骨を容赦なく襲う。つぅ、と首の付け根にそって人差し指が弧を描いた
そこ、ダメだ。必死に耐えてんのに、気を張ってんのに、そんな所を指先でなぞられたら緩んでしまう。唇を噛み締めてんのに、ちょっとの隙間からもう既に吐息が漏れてしまっていて
そっと耳に唇を寄せられて、触れるか触れないかの瀬戸際で唇が動くのを感じた。それが、俺を更に追い詰めると知ってか知らずか。耳元にかかる修一の吐息に、奥底にある熱が一気に込み上げてくる
「ほら、手、退けて」
「ふ、ぁっ……!」
口元を押さえていた手を退かされて、耳元でダイレクトに響く声に力が抜けて、さっきとは比べものにならない声が吐息とともに溢れ落ちた
指先が首筋の、本当に際どい所をなぞって、それだけでもかなりきてたのに修一の声がそこに加わるなんて
俺は耳が弱い訳じゃない。くすぐったくもない。でも、修一の声には、恐ろしい程身体が反応してしまう。自分のこんな声、聞きたくない。出したくない
だけど、勝手に、出てしまう
「……っなんか今の声、下に響いた。さとさあ、今、どんな顔してんの」
俺は顎を掴まれて、その瞬間抵抗したけど、無理矢理に修一の方へ顔を向けさせられて。前髪を掻き分けられ、顔を覗き込まれた。修一の指先に、声に、感じたその顔を
背けたいのに、頭までもを固定されて。修一の親指が唇をゆっくりとなぞる。愛撫する様に、優しく
「や、めっ……、それ、やめろっ……」
「やめろって言われると、余計やめたくなくなる」
「なっ……!今日のお前、どうかしてるぞ」
おかしい。修一は、こんな事をする奴だったか?こんなにも、強引だったか?
こんなの、冗談じゃ済まされないと、俺は思う。だって男にこんな事をして何になるっていうんだ。こんなに至近距離にまで顔を近付けて、今にも唇が当たりそうな所で喋って
いや、当たりそうじゃない。既に掠った。俺の唇に、修一の唇が
修一の親指があるから、キスは出来ない。けど、親指を今退けられたら、どうなるんだ
「そんな顔してっと、相手に勘違いさせるんじゃねえの?」
「そんな顔って、どんな顔だっ……」
「うーん、言っていいの?」
「は?」
「その顔、まるで誘ってるみたいだよ」
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