【6】

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ぐらりと、視界が揺れた。思わぬ刺激に、元々反応しかかっていた部分に、確かな熱が込められる ただ舐められただけなのに、俺はこれでもかって位感じていた。こんな所がこんなにも感じるなんて信じられなくて、俺はグッと握り拳を作る 逃げ惑う舌なんて、直ぐに探り当てられた。しつこく舌を絡めて、舌先を優しく甘噛みされて、俺はどんどんこの行為に追い詰められていった 「んっ……、ん、ぅ……」 キスしてる間って、呼吸って、どうするんだ こんなの初めてで、俺は上手く呼吸すら出来ずに口を大きく開いて酸素を取り込もうとした。その度に小さく漏れ出す甘い声に、耳を塞ぎたくて堪らない気持ちにさせられた 試すって、それだけで男とキスするなんて絶対におかしい。仮に、本当に試すためだったとして、じゃあ何で俺はこんなにも深いキスをされてんだ 修一がどうしてこんな事をするのかなんて、こんな状況で考えたってわかる訳もない。からかわれてるのか。それともこんなキスしてくるんだから、少し位は、俺に望みあんの? 酸素が足りない。もう、頭が、おかしくなりそう。意識も吹っ飛びそう 「ぁっ……、ふっ……」 恐らく、時間にしたら驚く程短いのだろう。それでも俺は、もう既に何時間もの間貪り尽くされた様な感覚に陥っていた 最初はあんなに嫌がって修一の舌を拒んでいたのに、一度奪われてしまえば、快感には逆らえなかった。キスが、修一とするキスがこんなに気持ちいいなんて、知らなかったんだ 口の端から、耐え切れなくなった唾液がダラダラと溢れ出す。次第に俺は、だらしなく口を開いて修一からの行為を素直に受け入れる様になった 唇がふやけるんじゃないかと思う程唇を貪らせた後、ようやく唇を離した修一が、至近距離に顔を近付けたままクスリと笑った 「さと、そんな顔も出来んだ」 「はっ……ぁ、そんな顔って、どんな顔だ」 「凄く、気持ち良さそう。キス好きなの?」 「なっ……」 「初めて見た。その表情、なんか、そそる」 そう言った修一の目は、正に獲物を狙う肉食獣のそれだ。怖いと思うのに、目が離せなくなる。その鋭い眼光に見つめられただけで、ずくん、と大きな波が俺の身体を襲った
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