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『早く気付けよ』
いつ言われたかもわからないその言葉が、耳に残って離れない
どこで言われたのかも、それが何を表しているのかもわからない。でもそれは確かに、俺に対して紡がれた言葉だった
それは切ない様な、どこか感情を押し殺す様な、そんな小さな呟きで。語尾になるにつれてか細くなっていく声が、今にも空気に溶けて消えてしまいそう
消え入りそうに弱々しいのに、俺の耳にはやけに鮮明に残っていて
唯一わかっているのは、その声の持ち主が、長い年月を共に過ごしてきた幼馴染みのものであるという事だけ
これは一体、どういう事なんだ。気付けって、何に
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