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 1年2組を改装したワルキューレカフェの入口には長い行列ができていた。なかには私服でなく進駐軍の白い礼服を着て、胸に制帽を抱えた上級生までいる。ジョージが口笛を吹いていった。 「すごい人気だな。みんなのお目当てはミス養成高校の東園寺(とうえんじ)彩子(さいこ)か。無理はないな。あれだけの美人で、東園寺家の直系だ」  タツオも低い声で返した。 「ああ、うまく結婚できたら将官将軍の地位も約束されたようなものだ。それに例の計画の正候補でもある」  タツオは引き戸の開口部をふさぐように立つ、巨大な背中に声をかけた。 「すみません。順番がきているので、通してもらえませんか」  制服の肩についた肩章に3本の線が走っていた。最上級生が振り向くとすごんだ。
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