312人が本棚に入れています
本棚に追加
104
1年2組を改装したワルキューレカフェの入口には長い行列ができていた。なかには私服でなく進駐軍の白い礼服を着て、胸に制帽を抱えた上級生までいる。ジョージが口笛を吹いていった。
「すごい人気だな。みんなのお目当てはミス養成高校の東園寺(とうえんじ)彩子(さいこ)か。無理はないな。あれだけの美人で、東園寺家の直系だ」
タツオも低い声で返した。
「ああ、うまく結婚できたら将官将軍の地位も約束されたようなものだ。それに例の計画の正候補でもある」
タツオは引き戸の開口部をふさぐように立つ、巨大な背中に声をかけた。
「すみません。順番がきているので、通してもらえませんか」
制服の肩についた肩章に3本の線が走っていた。最上級生が振り向くとすごんだ。
最初のコメントを投稿しよう!