運命と選択

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『リュウ、あなたにはこれから、もう一つ世界を救ってもらうわ』 「……は?」 天井も床も壁も無い、ただひたすら真っ白な空間で、突如として告げられた延長雇用契約。 その真意も語られる事の無いまま、指示だけが飛ばされる。 『危険度で言えば、あなたがさっきまで居た世界の比じゃないわ。心構えは充分にしておいてちょうだい』 「おい、神様……」 『それと、転移魔法も無いから人間が突然現れる事も有り得ない。コクリちゃんから変化の術は教わってるでしょ?それで目立たない姿になっておいて、今の内に』 「おい、待てって……!」 『それと最後に……』 少しの間を置いて、神様は続ける。まるで、覚悟でも決めるかのように。 『大丈夫。あなたは必ずやり遂げられるわ。……待ってるから』 それだけ告げられると、神様との交信は切られた。同時に、さっきまでと同じ、意識を引っ張られる様な感覚が襲う。 「うっ……ぐっ、一体なんだってんだ……よ!」 意識が白に堕ちる寸前、何とか変化の術を発動させ、姿を変える。ただ、意識の混濁の所為で、変化後の姿は俺自身も分からなかった。 ったく、まだ完全に習得した訳じゃないってのに。どうなっても知らねぇぞ、俺は……。
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