No Masic No Life

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ここはラジェイル王国領内の東端に位置する、『ラジェイル学園』。正式名称はもっと長いんだけど、とりあえずこれで通じるし、理事長もこの名を使っているので何の問題もない。 ラジェイル王国にただ一つしかない学園であるだけにその規模は大きい。一学年に約400人、それが初等部から高等部までの合計4800人以上を収容するこの学園は、校舎と寮、その他の施設だけで街一つと変わらない大きさを誇るのだ。 それで今僕たちがいるのは、高等部一学年第一訓練所。この学園では成績で学級が割り振られ、使用する訓練所も決まる。第一訓練所を使用する僕たちはSクラス、つまり一番上のクラスである。えへん。 「それにしても、今年もロランと同じクラスになれて良かったぜ」 「うん、僕もだよ」 隣で座るグレンは、ほとんど格闘戦の成績のみでSクラスに上り詰めている。僕よりも身体は小さいが、身軽ゆえのフットワークと身体に不釣り合いな程の怪力で、格闘戦のみにおいては無敗という快挙を成し遂げていた。 反面勉強は苦手で、中等部時代はいつもテスト前に僕に泣きついていた。 僕はその逆。格闘戦も苦手では無いけれど、座学だけなら誰にも負けない自信がある。えへん。 今は授業中で、内容は格闘戦。グレンが最も得意とする科目だ。 生徒同士で1対1を行う授業で、僕たち三人の中で最初に戦ったグレンはものの見事に完勝。10秒で相手を訓練所の床に沈めていた。 「にしても、Sクラスって貴族ばっかなんだな。そこだけはあんまり嬉しくねーや」 「ぐ、グレン、声が大きいよ……」 「その通りだ、グレン。僕たちが周りにあまり良く思われていないのは解っているだろう?」 「ヴィンスか。遅かったじゃねーの」 「フッ、格闘戦は僕の真価が発揮される場ではないのでね」 それでもヴィンスはちゃっかり勝利を収めてきていた。相手も中の上位の人であり、ヴィンスも格闘戦はかなり得意なのである。
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