大好きだから切なくて

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秀臣は高台の中腹辺りの脇道に入り、比較的新しい大きなバルコニーのある家の前に車を停めた。 車庫には赤いニュービートル。 その横には、この家の雰囲気に似合わない庶民的な自転車が停めてあった。 「あ、やっぱり都子さんもいる。」 秀臣は自転車に視線を向け、嬉しそうに口元を緩ませる。 車のエンジンを切り、ポケットにスマートフォンとタバコを突っ込む。 築島邸の外観をまじまじと見ていた私は、外に出た彼に倣って慌てて車のドアを開けた。
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