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第16章 告白
「僕のために……?」
「ああ」
僕を抱いた悠月さんの手が
愛しげにそっと背中をさする。
「おまえのために歌ったんだ」
僕は少しも身動きできず
耳元に響くその甘い声に聞き入っていた。
――僕のため。
「見てました」
「嘘つけ。どこで?」
「音のないテレビの前で」
「それじゃ意味ねえじゃん」
皮肉めかして笑う悠月さんの腕の中。
「聞こえてました」
僕は頑として首を横に振る。
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