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「ひゃあっ!!!」 バレンタイン当日のこと。 緋翠は数日前から 今年は何を作ろう って、ワクワクしながらこの日を迎えていた。 朝から緋翠の自宅へ緑と藍が仕事前に寄って、微笑ましそうに緋翠の様子を眺めている。 料理があまり得意ではない緋翠はこの日のために何を作るかたくさん考えて特訓を重ねた。そして作ったのは、生チョコレートの小さめホールケーキにちょこんと苺が乗っかったケーキ。 予定通り、いやそれ以上の出来に大満足した緋翠は意気揚々と包装をしようと箱の中にケーキを入れるため、ケーキを両手にテーブルへと移動しようとした。 ーーーそんな時だった。 足に何かが当たったと思った。 緑と藍が「ひーちゃん!」と呼びかけた時にはもう手遅れ。緋翠は足元に転がっていた雑誌に蹴躓いてしまった。 そしてその拍子に持っていた出来立てのケーキを落としてしまい、丹精込めて作ったケーキは簡単にぐしゃりと潰れてしまっていた。
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