マキシ、はじめる。

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「ふわぁ~、やっとおわったー。」 ようやく英語の課題プリントが終わった私は思わず情けない声を漏らしながら大きく伸びをした。 「おつかれマキシ。 でも、急がないと、大変よ?」 「えー?」 と、教室の時計に目をやる。 16時55分。 課題プリント提出期限は今日の17時厳守‥‥‥。 「わわーっ!ごめんエリア!さき下におりてて!!」 急いで帰りの支度をする私に対して優雅に、華麗に支度をするエリアにそう告げて私は廊下を駆け出す。 「ころばないようにーー!!」 「はぁーい、ったーーーいー!」 言われた途端に盛大にずばーんと廊下に顔を強打する。 「いったぁーーーい!!」 「ちょ、大丈夫マキシ!? 怪我してない?腫れてるんじゃ‥‥あぁおでこが少しふくれちゃってる‥‥。」 「だ、だいじょぶだよ、このくらい!そ、そそそれより課題!課題提出しなきゃ!!うわぁーーーーん!!」 「あっ!ちょっとマキシ! ‥‥行っちゃった。本当にそそっかしいと言うか放っておけないわね。」 「うぅー、頭ガンガンするぅ~。」 「だいじょーぶかー、楯鵞夜ー。」 「ぜんっぜんっ!だいじょばないですよ!!」 「だろーなー。」 この人は英語の先生の一ノ八先生。 メガネをかけていて髪は癖っ毛。 なんというか‥‥不潔感がただよった先生だ。いや、別に臭いとか、そういうのはないけど。 英語の先生って、もっとキリッとしたかっこいい先生かなぁなんて思っていた分、初めて見た時は少し失望した。 「おまえ、いまなんか失礼なこと考えなかったか。」 「い、いいいいえ!そんなこと、ないですよぉ! そ、それよりも、もう帰りますね!さよーならー!」 「にげやがった、ま、いっか。」 「ふぅー、はやくエリアのとこ行かなきゃなぁ。」 エリアとは高校生になってから友達になった。 たまたま席が近くって話してたら仲良くなってた。 私なんかと違ってエリアは男子からすごい人気がある。もう高校生になってから10人以上の人から告白をうけてるらしい。 でも、エリアはいつも「ごめんなさい。心に決めている人がいるの。」と相手に放つ‥‥らしい。 「エリアの好きな人ってどんな人なのかなー‥‥。」 私、そういう話、ちっともないなぁ‥‥‥‥。
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