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高い幼さの残る声。
「んー。……まあ、そっかな」
俺は正直に答えることにした。
それが一番手っ取り早い。
「……間違いなく、私が魔王だ」
やっぱり、そうですか。
まあ、だよな。
ここで違うと言われても、じゃあ本物はどちらに?って話だが。
さて、どうするべきか。
いや、戦うべきなんだろうけど。
あまりにも予想外の見た目の上に敵意も感じられないわ、魔力も感じられないわだとさすがに戸惑う。
どう見ても格闘派でもないし。
たぶん10秒あれば倒せるだろう。
「ドドリアンを倒したようだな」
「ん?うん」
あぁはい。ぶち殺してきましたよ?
なんだ?大事な部下をよくも!とか怒り出すのか?
普通はそうなるのだろう。
だが、声音も表情も静かなままで、何の感情も感じられない。
顔に出ないタイプなのだろか。
「……そうか、礼をいうぞ。勇者」
「__は?」
フワリと纏っている黒レースのドレスを揺らして立ち上がる魔王。
「よくぞあのいまいましいくそデブをぶち殺してくれた。ありがとう」
なんだ?この展開。
もう意味不明。
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