第1章 嚆矢

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次の日そこに集まった5人で目的の場所に向かった。かなりの急勾配の坂道の上に墓地があり、さらにそこを登っていくと昔あったお城の跡地がありそこに大きな扉がある、城の跡地といっても何もなくただ木々が鬱蒼と生い茂っているだけだ扉は大きな鉄製で作られたばかりだった。ここの扉を工事したのは村中の人が知っていた、もともと大きな一枚木でできた扉で手入れもしていたが雨風にさらされ老朽化に伴い危険性が増したということで金属にしたということだ。そしてそこの中にあるものは何があるか誰も知らないただ俺の家に古くから言われてきた伝承、それが扉の中にあるものだと親父が言っていた。そして、それを確かめるために今日は此処に来たけれどこの鉄の扉は凄く重く子供の力だけでは開けることはできなかった。俺らは扉を開けることを断念しその日は帰った。しかし好奇心が抑えられない俺らは明日も来ることにしようと話しを決めまた同じ場所に同じ時間に集まろうといいその日は解散した。そしてその晩A君が行方不明になったことを知らされた。俺らは村の集会所に集められ親父達に昼間どこに行ったか聞かれた、A君がいなくなったのは俺らが遊んだあと家に帰ってこなかったからだそうだ。俺らはあのお城の跡地に行ったといことを伝えた親父は 「あの扉の中に入ったのか?」 と静かな口調で聞いてきた。 俺らは 「入ってない」 そう一言だけ答えると 「そうか」 といい奥の座敷に入っていった。そこから俺らは二時間くらい待たされた。村を総出でA君を探している青年団の人達は、これ以上の搜索は困難だといい今日の搜索を中止したという趣きを親に伝え帰って行った。奥の座敷から出てきた親父は俺らにこういった。 「今日あの場所に行ったことはここ以外では一切の口外を禁止する、何を聞かれても俺の家で遊んでいたと言えいいな、わかったらもう家に帰って今日はゆっくり休め」そういいまた奥の座敷に入っていった、そしてそれ以降A君の話は仲間内でタブーとなり日に日に忘れていった。
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