第1章

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105年3月 ダキア王国 ティビスクム  デゲバロスの息子2人が率いるダキア軍3000はティビスクムに駐屯し、各地から兵と兵糧を集めていた。ローマ軍の動きが予想以上に早かったため兵はまだ1万にも満たない状況だ。すでにローマ軍の先発部隊はレシツァに入ったという情報があり、今確認を急いでいる。 「兄貴、どうも、ローマの連中は軽装歩兵と輜重部隊でレシツァに入ったようだ。兵力自体は5000以下らしいぜ。」 「なら、主力の重装歩兵と騎馬はどうしたんだよ?」 「騎馬は各地の制圧に動き回りながら北上中。重装歩兵の動きはまだ掴めてないが、一部がレシツァ西方の山岳地帯のほうからレシツァにむかってるという情報があるな。だけどあそこは狭いからな・・・」  兄貴の方が頷く。まだまだ目標とする2万の半数にも満たない。というのもすでにダキア西方の3割がたがローマに寝返ってしまったことにもその理由にある。レシツァは四方を山に囲まれ盆地の中央に小高い丘がある天然の要害だ。敵戦力が5000以下だとしてもこちらの兵力が1万にも満たない状況では勝てるかどうか怪しいものだ。 「兵の集まりが悪すぎる。今の兵力なら敵をレシツァに封じ込める方が有効だろうな。レシツァ北方を押さえて出口をふさげ。さらに本陣をここの北西20Km地点に移動。ティビスクムには守備兵1000を配置させろ。」 「おいおい兄貴、レシツァには敵の司令官ハドリアヌスがきてるんだぜ?封じ込めなんてつまらんことするなよ。」
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