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105年3月初め カパラチア山脈麓のトゥグル・ジウ ダキア本陣
ダキア王デゲバロスは前線からの報告と補給の状況、別働隊(息子二人)の動静を聞いていた。前線からはドロベタの陥落(これは予想どうりで撤退も計画どうり)と侵攻したローマ軍が略奪もそこそこに容赦なく村や町を焼き払い住民を女子供まで容赦なく奴隷としているという内容だった。この時代敗者は奴隷にされるのが普通ではあるのだが、降伏や、降伏交渉などによっては奴隷とされないこともあった。事実今までのローマのやり方だったらここまでの苛烈なことはなかった。もちろん各地の村や町に潜入させたスパイは逃げ出したか、捕まって連絡が取れなくなってしまっている。そのために前線より後方のダキア領内のローマ軍の動きが殆どつかめなくなってしまっている。ただ、ドナウ川全域は監視下にないためモエシア属州に潜ませた騎馬隊からはかろうじて連絡が来ている状況だ。そしてトラヤヌス本隊は一旦ドロベタに本陣を敷き30Km北東のモトルまで先遣隊が前進し、ドロベタ守備軍の敗残兵と対峙しているようだ。
さらにコズドロゥイからルシウス・クイェートゥスの騎馬隊が上陸してきたと知らせがった。その数は約1万。こちらは平原での戦いになるためクラヨバに兵を進めて守りを固めさせる。敵は騎馬兵中心なので城塞都市の攻略には苦心するはずだ。一旦3000を出してから後方から援軍として歩兵2000とサルマティア騎兵1万を出して牽制させる。途中のフィリアジに後詰の歩兵3000、フィリアジ西方のストレハイアに守備兵2000をだしてトライアヌス本隊との連携を断つ。モトル、ストレイア、ドロベタは北のモトルを頂点に左下がドロベタ、右下がストレハイアという感じの配置だ。そしてストレハイアの東にフィリアジが位置する。ルシウスのほうに1万5千も兵が行ってしまったので彼の元には歩兵1万と騎馬2千しかいない。
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