第3章

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side桐生次郎 ーーー ーーーーー ーーー 「……さむ…」 なんでこんなことになったんだっけ。 埃っぽくて薄暗いここは体育倉庫だろう。 見張りはいない。 どうせ鍵がかけられてるんだろうけど。 何回か閉じ込められたことあるし既視感しかないから間違いない。 俺どれだけいじめられてたんだろう笑っちゃいそう。 多分それっぽい薬を嗅がされたか飲まされたかしたせいでくらくらするし、まだ眠い 最近平和だったからほんとこういうの久しぶりすぎて感覚が鈍りそう。 それにしてはずいぶん丁寧な対応だとおもう。 手足は縛られてないし、雑に投げ込まれてたわけじゃない。マットに寝かされてた。 だいたいいつも縛られてるのに、制裁にしてはVIP対応だ。 ただまぁ極寒ではあるけれど。 身震いしながら体を起こすとやっぱりすこしくらりとした。 たぶん軽い睡眠作用のある薬かな。 ここまで冷静な俺から察して欲しいことはひとつ、 慣れって怖いねってことかな。 「……あれ?」 暗さに目が慣れて、もう一枚無造作にマットが引いてあるのが目に入った。 そしてその上に寝っころがる人の影も。 誰だろう 巻き込まれかな 気の毒に。 こんな時期に制裁しなくてもいいのになぁ なんとなくのんびりしてるのはいまいち実感わいてないんだろうな 久しぶりすぎて。 「誰だか知りませんけど、寝てたら風邪引きま………… え。」 ゆさゆさゆすって起こそうとして、 わずかに差し込む光がそのひとの髪色を照らし出した時、 その色がやっと目に馴染んで何色か把握できた。 「リオ、さん、?」 きらきらした金髪に、俺と同じ位置のほくろ、 俺の声で開かれた目がきれいな青色で、みるみる見開かれていく。 たしかに俺と一緒にとじこめられているのは もうあんまり関わらないだろうなと自分で判断を下していた相手だった。
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