知らない彼氏

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最後の授業が終わり、生徒達が教室を出て行く。 そんな中私は、未だ隣で笑っている彼を睨む。 「騙したわね…。」 「プッ…騙される方も悪いだろ。」 「何だと!?」 「しっかし、マヂで騙されるとはな!!」 「最初から演技してたの!!?」 「俺って天才?」 あぁ…私は何てバカなんだろう。 仏様スマイルが、今は悪魔にしか見えない…。 「悪かった。もう、騙さねぇから。」 「もう騙されないし!!大体、何で私なのよ!?」 「だって、一番バカそうだったから…。」 「殴っていい?」 手のひらを上に上げると、大袈裟にビビる悪魔だったが…明らかに顔が笑っている。 「マヂでごめんって!!でも、コレで退屈しないですむだろ?」 「私は、遊びに来てる訳じゃないから。」 「俺だってそうだよ。だけど、クラスに1人くらい話せる奴がいた方が楽しいだろ?」 「まぁ、それはそうだけど…。」 「俺は《荒井 涼太》お前は?」 「……佐伯 ミナリ。」 「ミナリよろしくな!!」 彼が笑って手を出すから、思わず握手してしまった。 「俺の事は涼太でいいから。」 「何で名前で呼ばないといけないのよ!!?」 「いいじゃん。」 「アンタ……自己中で言われない?」 「………お前、変な名前って言われるだろ?」 「………帰ろっと。」 「無視かよ!!」 腹が立ってきたので、私は荷物を持って教室を出る事にした。 後ろで彼が何か言っていたが、無視して修一の教室へ向かう。 (塾って恐ろしい場所だ…。)
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