知らない彼氏

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「ここに居たんだ?」 「…………。」 俯く顔を上げなくてもわかる。 この声は間違いなく修一の声…。 「どうしたのミナリ?」 「…………別に。」 彼の顔を見たくなくて、私は歩き出した。 すぐ後ろから、彼の足音が付いてくる。 「どうだった?初めての塾。」 「………疲れた。」 「そっか…ミナリの事だから、もう友達出来たんじゃないの?」 《友達》と言う言葉に、隣の悪魔を思い出した私は、不機嫌な声で否定する…。 どう考えても八つ当たり。 だけど、彼は何時もの用に動じる事なく言葉を返す…。 それが何だかムカついて、私は黙って歩き続けた。 きっと彼は、私の前ではあんな表情をする事などないのだろう…。 「ミナリ、コンビニよってもいい?ノート買いたいから。」 「うん……外で待ってるから早くね。」 嫌な顔でそう言った私に、彼は苦笑いでコンビニへと入っていった。 暫くすると彼が帰ってきて、私はまた無言で先を歩く。 遅いからと家まで送ってくれる彼に、何も言わない私は、何て嫌な奴何だろう…。 ついに家の前につき、私は観念して彼と向き合う…。 「………それじゃあ。」 「あぁ…。」 「………。」 「ミナリ……。」 家に入ろうとした私を、彼が呼び止めた。 「何………?」 「今日はお疲れ。」 そう言って彼が差し出したのは……。
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