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気づいたら、あの手紙を書き上げていた…。
それを驚いた表情で見ている彼奴の横顔に、俺はガラにもなく不安になって…。
《笑ってくれないか?》
そう心から願った…。
「涼太もお祭り行くでしょ?」
「えっ…?」
顔を覗き込まれ、俺は目の前に座る彼女に視線をうつした。
「聞いてなかったの?」
「ごめんな…少し考え事してた。」
「もぅ…まっ、いいけど。」
笑顔で俺を許した彼女を見て、彼奴だったら怒るだろうなって考える俺はどうかしてる…。
「夏休み最後の土曜日に、お祭りがあるんだよ!!」
「あぁ…そう言えば、去年も友達と行ったな。」
「私も毎年行くんだけど、今年は一緒に行かない?」
「いいぜ。」
どうせ、彼奴は彼氏と行くんだろうな…。
「やったぁ!!それじゃ、何時もの仲良しメンバーで行こうね!!」
「楽しみだな。」
「うん!!浴衣着てくるからね!!」
浴衣…きっと彼奴も、彼氏の為に可愛く着飾るんだろうな。
彼奴は、それほど彼氏に惚れ込んでいるのだから…。
そこで羨ましい何て思うのは、どうしてだろう…。
「………。」
別に、どうでもいい事じゃないか。
彼奴が、落ち込もうが。
彼奴が、誰と夏祭りに行こうが。
彼奴が、誰と付き合おうが。
俺には関係ない…。
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