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僕は薄暗い道で、ミナリの帰りを待った。
あれから連絡も取れず、波木にも確認を取るが…やはり彼女とは会ってはいなかった。
会場を探しても彼女の姿はなく、僕は彼女が通るであろう道ではやる気持ちを抑え立ち尽くしていた。
彼女が電話にでないのは、僕に腹を立てているからだろう…。
あんなに楽しみにしていた花火も、結局2人で見ることはなかった。
それどころか、僕は元カノと手を繋ぎみる始末…。
いくら事故とはいえ…自分の犯した事実に胸が痛む。
1人で空を見上げた彼女を思えば尚更だ…。
それでも今は、彼女が無事に帰ってくる事を祈るばかり…。
もう一度、携帯を開き彼女の番号を呼び出す。
そして、無駄だと知りながらも電話をかけようとする…。
(ミナリ……。)
「…ありがとう。」
「!!?」
暗闇から聞こえてくる声に、慌てて目を凝らす。
確かに聞こえた…彼女の声が。
そしてついに、僕の目に浴衣姿の彼女が映った。
ここから大分離れた場所に、確かに笑顔を浮かべる彼女が見えた…。
「ミナ…!?」
走りだそうとした僕の足が止まる…。
名前を呼ぼうとした声が出なくなる…。
君は何故、彼奴といるの…?
君は何故、笑っているの…?
今すぐ説明してくれるかい…?
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