交差する彼等

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彼が誰か知っている…。 (確か、同じ塾でミナリと同じクラスの…。) 名前までは知らないが、彼女と仲良く話しているのを何度か見た事がある。 目の前の出来事に、一気に熱が上がる…。 そして、心配や不安が怒りにのまれていく。 僕は、携帯を握りしめた。 暫くすると彼女がこちらに歩いてくるのが見えて、僕は無表情で近づいてくるのを待った。 「………。」 「!?」 彼女が僕に気づき、驚いた顔で足を止めた。 「修一…何してるの?」 「……ミナリこそ何してたんだい?携帯にも出ないで。」 「……修一には関係ないでしょ。」 そう言った彼女に、僕は今まで以上に腹が立った。 関係ないわけないだろ? 僕は、君の彼氏なんだから…。 「………。」 「………。」 「元カノさんとはどうだった?」 「……どうって?」 「楽しかった?」 嫌みな口調に僕は顔をしかめた。 今は、そんな事どうだっていい…。 事実、あの後僕達は何もなく別れたんだから。 それに、過去の事にどうして彼女はそんなにも拘る? 僕が今思っているのは、君だけなのに…。 「…楽しかったと言えば、ミナリは納得する…?」 「………。」 「それとも、僕を試してる…?」 「……別に。」 「ミナリこそ、楽しかった?」 「………。」 「本当は、彼奴を見かけたから離れて行ったんじゃない…?」 「修一…何言って…。」 隠すのはらしくないよ…。 「なぁ…今まで誰と居た?」
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