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俺はリンゴ飴を彼女の口へと持って行く。
「食えよ…持って帰って、またお前が泣くのは嫌なんだよ…。」
「………。」
「これ見てると、お前みたいで嫌なんだよ…。」
なかなか食べない彼女に、本音を語る。
割れてしまったリンゴ飴が、彼女の心と重なってみえたから…。
この飴みたいに、彼女の悲しみが消えてしまえばいいと思ったから…。
俺もお前と一緒でバカだから、こんな方法しか浮かんで来ないんだ…。
そんな気持ちが伝わったのか、彼女はリンゴ飴を一口食べてくれた…。
「………。」
「甘い…。」
「虫歯になったらお前のせいだからな…。」
嫌みを言えば、彼女が小さく笑った。
でも、それは切なくて悲しい笑顔だった…。
「なぁ…もう泣くなよミナリ。」
「………。」
「俺、お前の泣き顔みると……。」
「………?」
「いや、何でもねぇ。」
「そっか…。」
言えるわけない…。
言ったらダメだ…。
俺はお前の友達だから…。
お前の泣き顔みると、苦しくなるんだ…。
心の中で呟いて、俺はまたリンゴ飴をかじった。
そして、彼女の手を引きベンチへと腰を下ろした。
向かい合ってたら、また抱きしめてしまいそうだから…。
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