夏祭り ※涼太編※

6/8
前へ
/35ページ
次へ
それからまた、彼女は黙って考え込んでいた。 俺は、そんな彼女の隣で静かに空を見上げてた…。 暫くして、今度は俺の携帯が鳴った。 携帯開とメールが着ていて…送り主は一緒に来ていたダチからだった。 俺は、先に帰るようにメールを打つと携帯を仕舞った。 「友達から…?」 「あぁ…先に帰るって。」 「えっ!?ごめん…急いで帰れば合流出来る!?」 「いいって…急ぐほど体力残ってねぇよ。」 立ち上がる彼女に苦笑いで返す。 (それに、お前を1人に出来るかよ…。) しかし、彼女は俺を立たせようと腕を引っ張る。 「ダメだって!!行くよほら!!」 「はぁ?お前はどうすんだよ?」 「私も、もう帰るから!!」 「………。」 しょうがなく立ち上がると、彼女は腕を離して歩き出した。 「だったら、近くまで送ってやるよ。」 前を歩く彼女が振り返った。 「それじゃ意味ないし!!友達と合流出来ないじゃん!!」 「バーカ…いくらお前みたいな奴でも、こんな時間に1人だと危ないだろうが。」 「………。」 「また転ぶかもしれねぇし…。」 「誰が転ぶか!!」 「お前だよ…いいから行くぞ。」 一歩もひかない俺に諦めたのか…彼女はまた歩き出した。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加