夏祭り ※涼太編※

7/8
前へ
/35ページ
次へ
公園から大分歩いた所で、ミナリが口を開いた。 「今日はもう、これ以上考えない事にする…。」 「………。」 「だって…この以上考えても、嫌な考えしか出てこないから。」 「それでいいんじゃねぇ?」 「うん…修一とは、もう少し気持ちが落ち着いてから話してみる…。」 「そうか…。」 相変わらず切ない横顔に胸が痛んだが、少しでも前向きになった彼女に素直に喜んだ…。 「荒井には本当、励まして貰った!!実は良い奴なんだね!!」 「今頃気づいたのかよ…。」 「アハハハ!!だって、初日の印象が最悪だったからね!!」 「まぁな…っとお前、携帯かせ。」 「はぁ?何で?」 「いいから!!」 渋る彼女から携帯を奪うと、俺は自分の携帯を取り出しお互いの番号を登録する。 「勝手に登録すんなぁ!!」 「うっせぇよ…。」 彼女に携帯を返すと、俺は嫌みな笑顔で言った。 「また泣きたくなったら何時でも電話しろよ…すぐにきてやるから。」 「何それ…お前はスーパーマンか?」 「俺って優しいなぁ。」 「自分で言うな!!」 それでも、番号を消さない彼女に俺は満足げに笑った。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加