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僕は自分のステータス画面を開き、見つめる。
「…………」
最初見た時と全く変わらない。真っさらな『保有スキル一覧』。
僕は無言のまま、ひっくり返して賢十に見せる。
賢十が僕のステータス画面を見て、
「あ、問ってやっぱり、ボクと同い……年……」
その視線が下がっていくにつれ、賢十の声が消えていく。
「…………」
無言になった賢十の様子を訝しげに思った燐さんも僕のステータス画面を覗き込む。
「……え、何これ。何も無いじゃない。どういうこと?」
信じられない物を見るような目をされた。そこまでか。
「……えっと……燐さんは?」
「あたしのスキル? 一応、十個くらいあったわよ?」
「えっ……」
という事は普通は最初のうちからスキルを持っているのだろうか。
僕は自分の画面を引き戻し、『保有スキル一覧』の部分を睨みつける。こすってみる。
全然何も出てこない。
「…………」
「……まぁ、今は無いだけでしょ。いつか出てくるよ。ゲームでも成長すれば新しいスキル覚えられるじゃない」
がっくりと肩を落としていると、賢十にポンポンと肩を叩かれる。
燐さんは何やら熊の残骸のところへ行って串焼き再チャレンジへの準備をしている。
そこで今更ながら、自分の頭に巻かれている包帯の正体に気付く。
燐さんの寝巻きがウエストから下辺りから破られており、レザーアーマーの隙間から肌が見えていた。
「……まぁ、そうだよね」
賢十の言葉聞いて、僕も頷く。そうだ。ゲームの主人公だって、最初は何も覚えていないじゃないか。
恐らく、いつか習得できるはずだ。
この世界に飛ばされて初日の少し肌寒い夜、僕は能天気にもそんな風に考えていた。
しかし、現実はそんなに甘くなかったことを僕はこの世界に飛ばされて三年間の間に悟ることになる。
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