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考え込む仕草をした後、思い出したように言った。
「……『魔剣の山』がある」
「『魔剣の山』? 何それ」
「ここから歩いて一日くらいの所にある小さい山のことだよ。出没するモンスターがいやに強いもんだから誰も探索に行きたがらない、ある意味未開の土地だ」
「へぇ……。『外側』以外にもまだそんな場所があったんだ」
この世界に飛ばされた僕達は、周りを海に囲まれた小さな大陸にいることが分かっている。海の向こう側は『外側』と呼ばれ、未だ探索されていない未開の土地だ。
「リーダーはあんまり興味無いみたいだけど、大陸にもまだ見つかってもいないダンジョンとか結構あるらしいよ」
「そうなんだ。その山もダンジョンのひとつだったりして」
ダンジョンというのは、この世界に存在する自然の作り出したとされる迷宮の事だ。
主に地下に存在し、モンスターが生息している。そこには、この世界がどのような物なのか知る為の手掛かりが隠されているらしく、『冒険者』と呼ばれる職業の人達がそこの探索を生業としている。
たまに、遺跡や金銀財宝、現在の鍛治技術では作れない武器などが見つかることもあるらしく、聞いた時は「やっぱりゲームみたいな世界だ」という感想を持ったのを覚えている。
「そうかもね。あと、その山には変な噂があるんだよ。オカルトチックな話だけど、聞くかい?」
「うん。良ければ」
頷く僕に、箸を進めながら弥生さんが語り出す。何故か、隣の四葉もいつの間にか弥生さんの話に集中している。オカルトチックという言葉に反応したらしい。なんだって女子はこう、ホラーが好きなのだろう。
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